朝、センターの入口の前で一羽の鳥が横たわっていました。 太くて黄色いくちばし。 黒い風切羽には一本の白い筋が鮮やかに入り、一部が金属的な光彩を放っています。 イカルでした。 「まだ生きているかもしれない」 そう思い、イカルをセンターで保護することにしました。

イカルは秋冬は平野部にいて、田んぼに落ちているもみなどを食べています。 夏になると山地の落葉樹林にやって来て、ヌルデやエノキ、カエデの実などを食べます。 太いくちばしを使って、硬い種子の殻を上手に割って食べるのです。 鹿沢の隣にある東御市はくるみの産地として知られていますが、あの頑丈そうなくちばしなら、くるみの殻だって割れそうです。

浅間山
浅間山は3つの火山からできています

上信越高原国立公園で最高峰の浅間山(2568m)は、世界有数の活火山です。山体は黒斑火山・仏岩火山・前掛火山の3つの火山から成る複合火山で、火口は常時噴気し、北側は噴火の際に発生した溶岩流により形成された「鬼押出し」と呼ばれる奇岩景勝地が広がっています。

浅間山の溶岩は粘り気が強く、ガスや水蒸気を逃がしにくい性質があります。このため、噴火に至ると爆発的なものとなり、火山礫などの噴出物を飛散させ、噴煙を高く上げます。この噴火様式をブルカノ式噴火と言います。

野草園が見頃を迎えています。 色とりどりの花の脇にある解説板を見ながら歩いてみましょう。

キンバイソウ
キンバイソウ

キンバイソウ 〔金梅草〕 キンポウゲ科

オレンジ色を帯びた黄色が鮮やかな花で、夏の高原でよく目立つ。 花びらのように見えるのは萼(がく)で、花弁は中央に直立している。

ミツバチの分蜂
たくさんのミツバチたちが羽音をうならせ、飛び回っています

ミツバチは数が増えてくると、新しい女王蜂を育て、引越しをします。これを分蜂ぶんぽうといいます。

分蜂は春から夏にかけて行われます。まず古い女王蜂が働き蜂の半分を引き連れて巣を離れます。次いで新しい女王蜂が残りの働き蜂を連れて出て行きます。こうしてミツバチは増えていくのです。

ミヤマシロチョウ 提供:赤木道紘
ミヤマシロチョウ

長野県東御市と群馬県嬬恋村にまたがる湯の丸高原はミヤマシロチョウの生息地です。 ミヤマシロチョウは、国内ではごく限られた地域でしか見ることのできない高山蝶で、近年、個体数の減少が著しく、各地で保護活動が行われています。

ミヤマシロチョウはモンシロチョウよりも大きく、白い翅に黒いすじ(翅脈)が入ります。 メスはオスよりも大きく、翅が半透明です。 ウスバシロチョウとよく似ていますが、ミヤマシロチョウのほうが触覚がやや長く、黒いすじの数が多いという違いがあります。

鹿沢園地に生息するエゾハルゼミ(体長27mm)
鹿沢園地に生息するエゾハルゼミ(体長27mm)

「ミョ~キン・ミョ~キン・ケケケケケ……」

初夏の落葉樹林にそんな鳴き声が響いています。声の主はエゾハルゼミ。寒冷地に生息する小型のセミで、ここ鹿沢園地にもたくさん生息しています。

「柔毛の密生している、節を持った、その部分は、まるでエンジンのある部分のような正確さで動いていた。――その時の恰好が思い出せた。腹から尻尾へかけてのブリッとした膨らみ。隅ずみまで力ではち切ったような伸び縮み。――……」

小説家の梶井基次郎(1901-1932)はセミをそんな風に描写しています。

ハルザキヤマガラシという植物をご存知ですか? ハルザキヤマガラシはヨーロッパ原産の帰化植物で、日本各地に広く分布し、春に菜の花に似た黄色い花を咲かせます。 繁殖力が旺盛で、在来種を駆逐する可能性があるため、外来生物法で要注意外来生物に指定されています。

ハルザキヤマガラシ

県道沿いに繁殖するハルザキヤマガラシ
県道沿いに繁殖するハルザキヤマガラシ
  • 別名:セイヨウヤマガラシ、フユガラシ
  • 学名:Barbarea vulgaris
  • 科名:アブラナ科
  • 自然分布域:ヨーロッパ
  • 生育地:畑地、水田、荒地、路傍、河岸
  • 特徴:越年草または短命な多年草。日当たりのよい湿った肥沃地を好む。葉は切れ込みがあり、茎の高さは20~90cm。食用になるが辛味が強い。根生葉(ロゼット)を形成して越冬する。春に黄色の4枚花弁の花が茎の上にかたまって咲く。

タチツボスミレ
タチツボスミレ

春の強風と寒さが続いていた鹿沢ですが、今日はよく晴れて朝8時の気温が17度となり、暖かな日を迎えています。 こんな日は絶好の散歩日和。標高1400mに位置する鹿沢の遅い春を探しに、かえでの小径を歩きました。

小さな湿原にハンノキの花穂が垂れている様子が観察できます。その先へ進むと陽だまりにはタチツボスミレが咲いていました。次第に湯尻川のせせらぎが近づいてきます。

スロープの除雪
スロープの除雪

鹿沢では4月20日夜半から翌朝にかけて雪が降り、20cmほどの積雪となりました。その後晴れて気温が上がり、路面の雪はだいぶ溶けましたが、部分的に滑りやすい状態になっています。自動車で鹿沢へお越しの際は、冬用タイヤ、またはチェーンなどの滑り止めがあると安心です。

バリアフリー対応施設である当センターは、2階へ車いすで上がれるスロープを設けています。今日はそのスロープの除雪を行いました。

スロープに積もっている雪はかた雪になっていて、なかなかうまくかけません。かた雪を四角く掘り取りながら1階から2階をめざして少しずつ進んでいきます。南極観測船「しらせ」も、こんな感じで進んでいったのでしょうか。

この春より鹿沢高原の案内人を務めさせていただくことになりました古川です。どうぞよろしくお願いします。

私は長野県より湯の丸高原の地蔵峠を越えてインフォメーションセンターに通っています。自宅から地蔵峠までの標高差は約1000mあります。今日はその通勤途中で見た風景をご紹介します。

写真1
写真1

湯の丸高原の入口では山頂の緑と芽吹きを待つ木々が、はっきりとしたコントラストを見せていました[写真1]。山頂の緑はヒノキの仲間、その下はカラマツです。湯の丸から鹿沢高原にかけてはカラマツの人工林が多く見られます。